科学は宗教との闘いに勝利して生まれたと考える 科学と宗教の闘争史観 が退けられています。さらに、科学は証明できない前提(宗教的ではない一種の信仰)に立脚しているので、科学はあらゆる事柄に答えることができると考える 科学万能主義 が厳しく批判されています。

最先端の宇宙論が、“無”からの宇宙創成論、インフレーション理論、ビッグバン理論の三段階からなり、それぞれが深刻な 未解決問題(謎) を抱えています。したがって、自然科学によって宇宙の起源を解明できたとは言い難いのです。

宇宙では人間の生存に必要な条件が奇跡的にファインチューニング(微調整)されています。これを説明するために 多宇宙論 に基づく 人間原理 が提起されていますが、宗教に近いと批判されていることなどを示して、科学の本質に迫ります。

２０世紀に誕生した量子力学の原理をめぐって 世界観の対立 に根ざした論争が今に至るまで続いています。それゆえ科学は万能とは言えないのです。また、この論争が 量子コンピュータ が生まれる契機となったことを説明して、科学の本質を探ります。